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| 住宅リフォームを長年やってきた汗と涙の体験記 |
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| 第14回 |
| ≪第52号 2004.1.1発行号より≫ |
いつもいつも、こうして住宅のリフォームをしていますと様々な物事に出会うものです。今回は仕事人の裏側から物を言わせてもらいます。切っても切れない家と人生。これから壊してゆく部分をどう見ますか。「未だ惜しい」と見ますか?「過去にさようなら」と見ますか?私達はそのご家族を支えて来た「目に見える物」たちに「乾杯、ご苦労様」の気持ちで開始します。職人達は冷ややかに誉めた称え「よく持ったもんだなあ」と言い合います。数十年かけて積もったほこりをかぶりながら。私にはそれが愛と労りの様に聞こえます。壊してゆくのは部位別人生の様なもの。人の生活の重さを支えてきた床そして縁の下。人の生活の当て付けを体当たりで受けてきた壁。人の生活のドラマを見続けてきた天井。縁の下は人の重さを知り、壁は人の強さも弱さも知り、天井は人の喜怒哀楽を知り・・・。この目に見えない物たちを一緒に取り外して廃棄物と捨てに行くのです。燃える物と燃えない物とに分別して・・・・。そこには運ばれて去る物たちを見送る目があり、ポッカリ空いた空間に見入る目があり、説明を受ける輝いた目があるその中で、私達は着々と補修補足補強改修改装と進めて行くのです。この間は発見、驚き、感激、怒り、諦めと・・・様々な場面を味わうご家族と一緒になり、より現実的に計画の実現を考えて集中するのです。焦らず、最良手段を取る為に、裏では議論したり、走ったり、図面を引き直したり、時間と戦いながら手間暇掛けていることが多く、傷もなく不備もなく見栄え良く最後に引き渡すまで続きます。
また、水廻り全てやり替えでも、内外装全てやり替えでも、住みながら進めて行くのでいかに仮設住空間を快適にし、毎日の仕事仕舞を大事にし、養生を大切にするかで、本工事の評価も違ってくるのです。良い評価を戴ければ再発注も紹介も戴けるというわけで、今日までそんなこんなで続いて来たのです。何と申しましても信頼のおける方と信頼しあって工事に入るのがお互いの為になります。完成間近になると、関わった職人達も緊張が溶けて優しい笑顔になり、達成感を味わい嬉しそうなのです。何度も何度も頭を下げ合って惜しむように完成引渡しが続くなんて、生産主義や能率主義では味わえないリフォーム人生です。 |
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| 第13回 |
| ≪第50号 2003.10.1発行号より≫ |
地震対策はいかがですか!
県内では予想される東海地震に備えて耐震診断や耐震補強を進めようと二年度前から動きがありますが、現実にあまり進まない状態です。改修や補強をする余裕のない世帯や、有効な補強方法が見つからず建替えを宣告されて諦める世帯などを抜いても、なかなか腰が上がっていません。震災が現実となった時、「応急危険度判定」といって被災建築物の余震等による危険性を判断して当面の使用の不可を決め二次災害を防止する目的の判定があります。これによって自分の家にその後住める世帯と避難所・仮設住宅暮らしになる世帯とが出てきます。阪神の大震災では元住んでいた所に戻れない人が多くいたそうです。それも解体パニックであわてて修繕可能な建物までが解体されて、気が付くと新築資金はなく年齢的に借入も不可能とわかって途方にくれる人が続出、思わぬ「落ち」があったのです。そこで被災後構造体の損傷状況から被災建物に残存する耐震性能を推定し長期的な使用のための復旧の要否と程度を判定し、修繕して住める家と、被災地を早く正常な状態に戻す為に解体すべき家とに分ける為に「被災度区分判定」という判定があります。被災した場合住宅一戸の私費解体は100万円超の負担がかかりますから、倒壊家屋などの解体撤去は公費負担で実施と決まりましたが、使用できる建物まで公費解体できなくなるということで、市民は震災前にも後にも決断をせまられるわけです。廃棄物の処分等で環境汚染も想定し、一戸当り公費解体が100万円超、仮設住宅が300万円、公営住宅が2000万円という費用は地域の復旧とともに莫大なものとわかります。もし、可能なら被災後も自分の家に住みたいという人がほとんどなのにこんなに耐震対策が進まないのはなぜでしょう。静岡の住民は諦めの人が多いのに驚きましたが、自分・自宅の守りは自己責任ですから、くれぐれも情報をとりいれて何かしら対策を練って下さる様お願い致します。小さなことからでもはじめてください。
災害は忘れた頃にやって来ますよ。 |
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| 第12回 |
| ≪第50号 2003.7.1発行号より≫ |
今回特にお知らせしたいことは、耐震対策といってもリフォーム時だけでなく、新築時の建築基準や施工確認チェックがいかに大切かということで、声を大にして申し上げたいのです。昨今の住宅金融公庫の技術基準は仕様書を見ますと数年前と比較しても数段上です。神戸の地震からの教訓や、十数年前の公庫基準で建てたはずの住宅の欠陥騒ぎや、公庫以外の住宅や建て売り住宅で手抜施工会社に当たってしまった件々で、持ち主からの多くの告発が細かい技術基準を仕様書に載せ、現場審査時施主自ら確認してチェックする形態となったものと思います。最近公庫ローンで木造二階建を建てる場合は一階・二階の柱の引張耐力計算をして土台・胴差・小屋梁との接合金物を決定します。木使いとも関連しますが土台との緊結は基礎のどこにどのボルトをどのように埋め込むか、から始まります。これが耐震検査で入っているかいないかよく云われる「筋違い」と深い関係があるのです。筋違いが入っていても金物がなければ逆効果になる場合があり、偏っていても、向きが悪い場合でも逆効果になるのです。新築の場合事前にあらゆる検討をして設計し、施工もチェックしながら写真に記録し監理できますが、既存住宅の耐震対策や一部増改築の場合は建物全体の細部を見ることは不可能です。昭和55年以降の建物なら大丈夫と思われる方が多いようですが、現在の公庫の基準と比較したら雲泥の差が出るかもしれません。そして驚いたことに、その厳しい公庫の仕様書で住宅を建てる人がわずか一握りもいないということです。恐らく、公庫より銀行金利が手短だからでしょうが、公庫では中間検査(筋違いや金物が付いた時点、構造骨組の見える時点、屋根が葺けた時点、があり、役所が仕様書に照らし合わせて検査をしてくれます。完了検査も基準法の検査のほか公庫の検査もあります。しかし、銀行の検査は公庫のように仕様書はありません。建築基準法に沿って施工されるのですが細部に渡って設計図や仕様書が無い限り素人の施主がチェックすることは不可能ですから、現実にはどんな建物が出来ているのか分かりません。建築確認済の時点では耐力壁量を満足しているか、耐力壁に偏りがないかの審査はしていますが金物の審査はありません。確認はしてもあくまで書面ですから、現物は施主がチェックしない限りどのように出来ているか分からないのです。ひたすら良質な住宅が出来ることを祈る者として今一度本質をお考えいただけたらと思ってやみません。 |
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| 第11回 |
| ≪第49号 2003.4.1発行号より≫ |
只今改築改装中の御宅は昭和初期の本屋に増築改築を重ねて、水廻りだけでは25年経過している旧家です。先代から長年のおつきあいの中で信頼され、今回地震対策を含めて常時居る台所などの改築を承りました。外見では多少の白蟻被害の他、軒や下屋の木部が腐蝕している程度でしたが、解体とともに少しづつ現れた危険箇所は浴室側に及び、結果的には水廻り大部分を改装することになりました。柱や梁は材質がよく、補修・補強をすれば充分持ちこたえます。ただし浴室と洗面の境で常に水がかかっていた両側の柱は、根元60センチが白蟻と腐蝕の生無し状態で浮いている有様でした。たいへんなのはその工事で、荷がかかった柱を浮かせたままで基礎やコンクリートを打ったり、土台を据え付けたり柱をはめ込んだりする箇所があるので慎重で確かな技術が必要です。また現存する柱や梁に刻みを入れて寸分の違いも許さず取合を収めてゆく大工の技が生かされる時でもあります。そして緊結金物も良くなりました。なんと云っても10年前20年前と大違いの進歩は住宅設備と配管材・配管工法でしょう。住宅事情や生活法、リフォーム需要などにより改良やコストダウンを重ねて各施設用品は日進月歩を繰り返して留まる処を知りません。確かに以前「こんなものがあったらなあ」と思ったものが出来てきたり、特殊技術や道具が無くても施工性が良かったり、錆や腐蝕の心配のない耐久性の良い材料が目立ってきました。今回基礎がら柱、梁、壁まで耐震補強をして土間コンクリートを打ち、配管をその上にすれば、今後は腐蝕や耐力の心配は無くなります。内部構造も常時乾燥状態で保存されることになり、完成が楽しみです。 |
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| 第10回 |
| ≪第48号 2003.1.1発行号より≫ |
先日改装しているお宅で、屋根裏から一階天井裏と床下の基礎迄可能な限りの箇所を見せて頂き写真撮影をした後検討してみました。時代は昭和54年で築後23年となり、少々心配はしていましたが以外にもしっかりしていました。どこがどうしっかりしているかといいますと、まず、小屋組では構造材の金物も有効に使われ錆や緩みもなく、火打梁や筋違いも要所に入り、建築以来緩んだり外れたりしていないことと、比較的良い木材が使われていたことが救いでした。写真と平面図や立面図(これもないので調査で私が作成)を基に現状の安全度を出してみました。新築の設計をする時と同じように壁筋違いの位置から(大きさは改装箇所から割り出し)偏芯率の計算をし、風圧力、地耐力に対する必要壁量を計算したわけです。すると鮮明に不足している壁の量が数字で出てきました。間取りを見ただけで睨んだ通りでした。次に何箇所何メートルくらい筋違いを入れたいと箇所の選定をします。基礎が在り一旦壁を壊して再生出来る場所でしかも費用が少なくて済む場所です。厳密にいえばそれだけではありません。家の重心と剛芯の距離である偏芯距離が出来るだけ少なくなる位置の方が良いのです。この耐力壁の配置によっては逆効果になって加わる力の方向によっては壊れやすくなったりします。また見逃し易いのは和室の柱の欠けが案外多かったり、基礎がなかったり、利き方向かということです。このように耐震工事といってもピンからキリまで有る事をどうぞ頭に入れておいて下さい。既存の基礎や鉄筋の入っていない基礎を壊して金具を埋め込んでも逆効果、土台に金具を付けても意味なし、皆様よーく考えましょう! |
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| 第9回 |
| ≪第47号 2002.10.1発行号より≫ |
建て替えかリフォームか悩むところ、その間をとって建て増しというところに落ち着いて、取り掛かっているのがN邸です。二階と一階の一部を撤去して新しい柱や梁を取付けて、最終的には屋根裏の高い二階建ての家になります。家の半分が新しくなる場合でも、木組みをしてゆく段階で既設の柱を補強したり、入ってない受け柱を入れたり、家全体の強さを計算して筋かいを入れたり、断面の大きい材料を入れたりして、一の建物として強固な器をと日夜気を入れて取り組んでおります。今回最も重要な要望は二世帯住宅にする他、屋根の重さの軽減と外壁屋根廻りのノンメンテナンスでした。既存の屋根は陶器瓦で、木造の屋根材としては重たいほうで地震の時は飛んだり落ちる可能性が大でした。外壁もスチールトタンで数年に一回塗装が必要でその度に足場代がかかります。今度は外壁面も多くなりその都度足場と塗装をしていたらたいへん!そこで極力減メンテナンスで低コストな軽い材料を取付けることにしました。屋根も十メートル上までの外壁も同材、驚異の耐蝕性、耐熱性を持ち加工性に富んだ高耐久性表面処理鋼板とし、断熱、耐火には厚さ12.5の石膏ボードで両側から柱を囲い100ミリの断熱材を充填します。本体が改めてガッシリ組まれた上で軽くてメンテの程遠い低コスト材で囲まれた建物が出来上がります。今回は既存建物を改修増築することによって耐震性が増加した例です。リフォームは住みながら進行していくので毎日の養生や清掃にも時間を取られ、その場での加工や原寸合わせも多く、見た目でなかなか進まないのですが、こちらはしっかり手配済みで準備を整え職人さんとの息の合った工程で進めているのです。一番困るのは決めたことを変更されたり中止される事でしょう。決めた瞬間にすでに事は進んでいて、工程を変えたり仕様を変えたりするのは間に合わない場合は費用がかかってしまうから大変なことなのです。リフォームは最初から十二分な検討とその場の素早い決断を要す大仕事なのであります。 |
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| 第8回 |
| ≪第46号 2002.7.1発行号より≫ |
*弥生のリフォームは暮らしリフォーム*
最近は家のリフォームというより、暮らしのリフォームと云ったほうがふさわしい場面が多々あります。老いかけ世代(退職して第二の人生のかけ出しの方)が自分達に都合よく水廻りを改装するとか、寄りかけ世代(二世帯同居してお互いどこか寄りかかわる方)がお互いの快適さの為に改装するとか、自立独歩世代(世代の幅は限りなく単独の自立生活者)が必要最大限で費用最小限の改装をするなど、明らかに目的を絞った効率の良いリフォームをしています。その後は活々と人生に勝負を挑むかのように暮らしているのです。病は気からと云われますが、人生も気からですね。楽しく暮らすのには一つは生活法、一つは精神維持法を自分なりに持つことです。これは私共がお世話になって参りましたお客様一人一人から無言の内に教えられた実感です。活々過ごす為には暮らしリフォーム、つまり家のリフォームも役立つと云うものです。無理にとは申しませんが・・・
では、「家のリフォーム」といっても考えすぎてしまわないで下さいね。ここを変えたい。だけどここだけでは済まない。するとあそこもしなくちゃ。それならそっちもついでに。と思い巡らしついに諦めてしまうのではもったいない話。また辛い毎日との戦いがやって来るではありませんか。やりたい気持ちをどこで止めるか、それが問題!今までより良くなるならこの辺でいいじゃない!この割切りかたが肝心。ましてふところと相談するなら、頭打ちを決めて、どの範囲でできるか聞いていただくのが有難いのです。実際のところ、使用する品物や材料によって出来る範囲は限りなく広がるのです。ここからここまでやりたいが品物はどれくらいの物が使えるか。またはこの品物を入れてこの材料を使ってこのくらいのことをしたいのだがどこまで出来るか。との相談から入っていくのが妥当かと思われます。最適なリフォームの仕方は、計画的につぎの段階、後々のことを考えに入れて今出来る場所からすることです。
まずは相談してみましょ! |
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